チェロとお昼寝

趣味のチェロとか とにかくもろもろ。アラ還主婦のつぶやき

一人暮らしと介護のバランス

同じマンションで1人暮らしをしている母(87歳)

介護の認定がまだなので、今は、健康保険で、週一回のリハビリ(整形外科)を受けている。

介護の認定は8月末らしい

 

 

今までの詳細はここに。。宜しかったら。

 

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リハビリに通い出したのだけど、保険によって内容が違うと知った話

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 その後骨粗鬆治療の話

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私は、毎回送迎係。リハビリは40分強なので、大概待合室でぼーっとしたり、本を読んだり。

 

整形外科の平日の昼は、

見事に老人ばっかり。。。

 

よくよく見ると付き添いで来ている人は少ない。

皆歩くのも大変そうなのに、どうやって来ているのだろう?

入り口まで送ってもらってるのだろうか?

 

介護タクシーで来ている方もいた。

タクシーの運転手さんがおばあさんの手を引いてやってきて、受付の手伝いをしていた。

受付の人に「治療が終わりましたらここに電話していただけますか?」とお願いしていた。

介護タクシーなんてものがあるのは初めて知った。

 

また知らない世界に入ってきた。

 

隣に座ったおばあちゃんが話しかけてきた。

ここ数年、知らない隣の人と喋るなんて無かったので、何だか新鮮。

まだまだコロナの感染者は上昇中だけど、椅子と椅子の間に仕切りはあるし、マスクもしてるし(喋らない方が良いのでしょうけど)何よりおばあちゃんが明るくて楽しそうなので。

話をすることに。。

 

96歳のおばあさん。一人暮らし。娘(と言っても還暦過ぎている)は東京に住んでいて、2週間に一回世話をしに来てくれる。ヘルパーさんも来てくれる。

96歳とは思えない、頭の回転の速いおばあさんで、テンポよく話をしてくださる。

脚が悪いから、リハビリに通っていて、健康教室にも通ってたんだけど、週二回通っていたら、忙しくなっちゃって週一回に減らした。

1人暮らししたいから、頑張ってるんだけど、色々大変。

特に洗濯物が、干し場が2階なので、階段の上り下りが大変で。。

大きなビニール袋に洗濯物を入れて、よいしょよいしょと持ち上げて上がって、乾いたら、また、ビニール袋に入れて持って下がってる。とか、

笑いながら教えてくださるのだけど、いやぁそりゃ大変だろう。。と、私の方がドキドキする。

喋っているうちに、ついつい

「大変だけど、やっぱり一人暮らしって魅力的なんですね」と言ってしまった。

言ったとたん、あっ!と思ったが、もう遅い。

おばあちゃんは、「うーん」と考えて、

静かに呟いた。

「一人暮らしは気楽なんだけどね、良いんだけどね。歳を取ると出来ないことが色々出てきて、やっぱり手伝ってもらいたいのよね」

と、ちょっと寂しそうで、泣きそうだった。

申し訳ないことを言わせてしまったと反省した。

 

最近読んだ本

60歳をすぎた女性医師。東京で救急医療をたずわさっってきたが、小さなミスをきっかけに退職して故郷の父の元に戻る。

そこで始めた仕事は、訪問診療医。

在宅医療の現場で出会う患者たちとの奮闘を描いた小説です。

ちょっと前に吉永小百合さん主演で映画化されました。

この作者の南杏子さん。

現在も老人病院に勤務する現役のお医者さん。

経歴が異色なんです。

元々は編集者でした。結婚して子供を産み育てながら、一念発起して、33歳の時に医学部に学士編入して医師になって、それだけでも凄いのに、作家にまでなってしまったという凄い経歴。

トーク番組に出演されているのを偶然見かけましたが、ガンガン進むパワフルな女性かと思いきや、穏やかな、笑顔の素敵な女性でした。

 

 小説では、訪問診療医になった主人公が、色々な家庭を訪問し、在宅介護の現実に直面します。

それぞれの家庭は、一般的な在宅介護とは違う、「自分の希望の介護」を求めています。

主人公の医師は、戸惑いながらも、何とか「良い最後」を迎えさせてあげようと奮闘しますが、余りに非常識な患者やその家族に困惑します。

時に大きくぶつかりながらも、少しずつ理解し合い、寄り添い、それぞれの「最後」が満足のいくものにしようと頑張ります。

 

 介護保険という、国が定めたレールの上で、いかに上手く乗っていかれるか?と考えていた私には、「素直に乗っていられない」現実もあることに気がつかされました。

我が家はどうなるか?

レールに乗られなくなったとき、私は家族として、どんな行動に出られるだろうか?

 

考えても答えは出ない問題ですし、

最近は、「まさか」が頻発する世の中ですのでどうしようもないのでしょうが。。

心構えだけでもしておかないといけないなと思いました。

穏やかな文章で語りかけてくれる小説ですが、厳しい問題を突きつけてくれたありがたい小説でした。