映画 アマデウス
私が大学生の頃?の映画です。
かなり話題になりましたし、内容も面白い。
音楽的にもよくできていて、なんとなくしかモーツアルトを知らない(もちろんサリエリも)
私は「へえー」と思いながら興味深くみました。
それこそ、DVDでも観たような気がします。
ただ、この映画で一番印象に残ったのは
「モーツアルトって、奇人だったんだ」ってこと。
私が小さい頃から教え込まれた、モーツアルトは、「偉大な作曲家」でした。音楽室には必ずモーツアルトの絵が飾られていたし、大人達はみんなこぞって「偉大、偉大」と言っていたので、全く躊躇なく「偉大」だと思っていたのです。
でも。。。。
この映画で出てくるモーツアルトは、才能はあるけど、ものすごく軽薄な、遊び人
作曲してお金をもらっては、遊びまわる。
「けけけけ」と笑いながら、遊び回っているのに、人気があり、才能を認められ、
それまで「大先生」として認められていて、きちんとした良識ある生活を送っていたサリエリは、モーツアルトの出現で、立ち位置を奪われ、ものすごく嫉妬します。
映画の中のモーツアルトを見ていれば、サリエリの気持ちすごくわかります。
なんで、あんなアホが認められて、賞賛されるんだ!
わかるわかる。
映画を見ながら、私はサリエリに同情しました。
モーツアルト役の俳優さんがあまりにも上手に「軽薄さ」を演じていたのをそのまま信じてしまいました。
そして、映画を見終わると、私の心の中では「モーツアルトってアホ」と刷り込まれていて。。。
それ以来、モーツアルトの曲を弾くことがあっても(モーツアルトはチェロの曲はないので、オーケストラの曲)なんか、かるーく考えてしまって。。。。
一旦刷り込まれると、怖いです。
ウィーンに行って、モーツアルトハウスに言っても、あの映画の情景が思い出されて
「アホのモーツアルト」が出てくる。
モーツアルトの自筆の譜面を見ても。
モーツアルトの譜面ってすごいんです。全く直しがない(消しゴムのない時代です。)頭に浮かんだものをそのまま書いているのか、ものすごく綺麗。(逆にベートーベンは直しが多すぎて全然わからない。)それを見て、すごい!と思いながら、「軽薄なモーツアルト」の印象は拭えず。。。
それからもう40年ほど。。。。
ピアニスト藤田真央君のモーツアルトを聴いて。
あれ?モーツアルトって素敵!
と、突然思ったのです。
そしてそれに触発されて、昔弾いたモーツアルトのソナタ(一番簡単なの)を弾いてみると
なんて可愛らしい音楽! 和音も素敵! と、どんどんと感動が湧き上がってきて。。。
そこで、やっと。
「モーツアルトってすごいじゃん!」
と、思えるようになって。
還暦マイナス1歳になってようやくわかるモーツアルト。。。。
もちろん、映画にあるように軽薄な部分もあったのかもしれません(誰も見た人いませんから)でも、それは部分的なものであり、モーツアルトの本分は、才能あふれた、遊び心満載の若者だったんじゃないか?
やっとやっと、今頃。当たり前の思いができるようになりました。
思い込みって本当に怖いものです。
私がモーツアルトが好きでも嫌いでも、世の中になんの影響もありませんが、
多分、絶対他にたくさんの思い込みをしていて。
色々な方々にご迷惑をおかけしているかもしれない。。。。
そう思うとドキドキしますが。
そんな思い込みを見つけたら、さっさと潰さなくては。。。
まだまだ人生やり直せます。