先週、ジュニアオーケストラのお手伝いに行ったら、知り合いがいた。
私と同じ、先生に頼まれてお手伝いに来た、大学四年生の男の子。
2年ぶりくらいに会った。
就職活動も終わりに近づいたらしく、少し余裕が感じられる。
この男の子を見ると私は嬉しくなって近づいていく。
なんせ、昔使っていた私の楽器をお買い上げくださった方なので。。
今の楽器を買う時に手放した楽器。
金銭的にも場所的にも置いて置くことは出来なかったので。
でも、楽器を手放すときは本当に悲しかった。成人式の振袖の代わりに買ってもらったチェロで、35年も一緒に行動していた楽器だった。何より次にどんな人に買われていくのかわからなかったから。
でも、私に出来ることは「良い人に貰われますように」と祈るしかなかった。
もちろん、その楽器がその後どうなったのか分からなかった。元気にしてるかなあ?と思いながら、でも悲しくなるので考えないようにしていたら。
なんてことない。先生のお弟子さんに買われていた。
先生に紹介された楽器屋さんに売ったので、先生のお弟子さんもたくさん利用している。
その大学生の男の子はお金がないけど楽器が欲しいと楽器屋さんに訴えて。
楽器屋さんはそれならと、殆ど儲けなしで私の昔の楽器を売ってくれたらしい。
それを聞いたときは嬉しくて。。。
再会した時も嬉しくて。
何より大事にされていたのも嬉しくて。。。。
話はジュニオケの練習に戻る。
大学生の男の子。大学のオーケストラに所属しながらチェロのレッスンも続けていて。
まだ初めて3年ちょっとなのにすごく上手。
この前会ったのは2年くらい前だったけどその頃より随分上手になっていた。
もちろん、当たり前だけど私が大学4年の時よりも全然上手。。。。
すごいなあ。。。。と感心しながら隣で弾いていた。
休み時間になると話が弾む。
就職活動の話、チェロの話。
多分、地方に行くと思うんだけど、市民オーケストラがあるか心配なんです。
寮に入ったら、チェロ弾けないかもしれないから練習もできないかも。。。
と心配を並べていたけど、顔はイキイキしてる。
2年前に会ったときは 頼りなくて大丈夫か?という感じだったけど、就職活動をしたせいか
(20社くらい受けたらしい)ものすごくしっかりしていた。若者ってすごい。
おんなじチェロを弾く仲間と思って、接していたけど。。。
よく考えたら、この大学生はまだチェロを初めて3年ちょっとでこれから就職して、市民オーケストラに入ったり、個人レッスンをしたり、アンサンブルをしたりと、夢がたくさんある。
チェロに疲れたら、違う楽しみを見つけてもいいし、また何十年もして再開してもいいんだし。。。
隣で弾いてると、同世代と思ってしまうのだけど(笑)全然違うわ。
35年も違うんだ。
お兄さんと同じ大学四年生の時
私は個人レッスンを受けていなくて、学生オケで自己流で弾いていた。
教室で1人練習しながら「こんな自己流じゃ上手にならないよなあ。。どうにかしなくちゃ」と思っていた。
もちろん当時もチェロの先生は世の中にごまんといたし、探せば見つかったと思う。
そこでコツコツと練習すれば、今もう少し上手になったんじゃないかとも思う。
でも、私は先生を探すこともなく、卒業して市民オーケストラに入り、自己流を続けた。
市民オーケストラは楽しかったけど、「これじゃあ上手にならないよなあ」と思いながらもなんとなく続けていた。
先生のところに通うには、チェロ以外の遊びは諦めなくてはいけない。
あの頃の私は、いろんなことをしたくて、とにかく忙しかった。
だからじっくりチェロを練習するということはできなかった。
結婚と同時にチェロをやめ20年、息子が中学に入るとチェロを再開しようと決意した。
でも、今度はきちんと先生に習おう!と。
上手になりたいから。
運のいいことに今の先生と巡り会えて、順調にレッスンが続いている。
牛歩のようなスピードでしか進まないけど。
大学4年の時に「これじゃだめ」と、思った光景を時々思い出しては、「夢が叶ったなあ」と思っている。
大学生のお兄ちゃんはこれからどうなるんだろう?
きっとコツコツと続けて、上手になるんだろうなぁ。
35年後、今の私の年齢のころは凄く上手になってるかな?
35年後の彼と会うことは絶対にないけれど。
この演奏会が終わったら多分会うことは無いんだろうけど。
何故かワクワクする。
楽しい社会人生活が送れますように。
私のチェロもよろしくね。