随分前、チェロの先生に言われたこと。
確か、ブラームス のチェロソナタの練習をしていた時だったと思う。
そんなに沢山の曲を練習していない(出来ない)からきっと確か
「これメヌエットですよー。踊るんですよー」
と言われて。。
もちろんわかってますよー。
でも何でこれが踊る曲なのかわからないんですよー。
私が「ダンス」というものを最後にしたのは、多分高3だと思う。
女子校でダンスが盛んだった。
毎年運動会には「創作ダンス」という出し物があって、曲を選び、ダンスの振りを考え、グループごとに発表して投票で、選んだ。
女子校の運動会は怖い。
学年対抗で、中1も高3と同じ土俵で戦う。
大人と子どもという感じだけど、その中で何とか工夫して勝とうと必死に練習する。
高3は、受験があるのだけど「優勝するとその年の受験はうまくいく」という、何の根拠もない迷信を信じて、受験そっちのけで練習する。
私は運動オンチだし、ダンスも上手じゃない。
だから運動会は憂鬱で、でもやらない訳にいかないからしょうがなくやる。
運動会が近づくと教室の雰囲気が変わる。
士気が上がるのだけど。。
普段授業中は殆ど寝ているか、友達に手紙を書いて回していて全く元気がない人たちが、運動会となると俄然元気になって、リーダーになった。
今思えば、先生も学校に楽しみを見つけてくれればそれもよいと温かい目で見ていたのだろうけど。。
でも、普通の生徒からすると、困惑しか無かった。
しかも、私は運転神経が並以下だったので、遅い。それでも何とかやろうと頑張っている側で、そのリーダー達は叫ぶ。
「やる気あるの?ちゃんとやって!」
遅いのは悪いけど、普段授業中、やる気のカケラも見せない人達に「やる気」を指摘されて複雑だった。
体育の時間だけでなく、朝練までやると言い出す。普段遅刻ギリギリで、朝一緒になって教室に駆け込んでる「遅刻仲間」が、その時期だけはやたらと早く来ている。
こちらは、やはりいつものごとくギリギリの時間(それでも朝練に合わせて早く出てる)に到着するのだけど、その様子を見て、怒る💢
「ギリギリに来ないで!」
冗談かと思って思わず顔を見た。
しかし、物凄く真剣な顔をしていた。
本心からそう言ってるらしい。。
今なら、ワザと外したり、言い返したりするだろうけど、その頃の私は、ひたすら「ごめんなさい」と言って小さくなっていた。
怖くて、言い返すなんてことは出来なかった。
言い返したら、女子校は怖い。その場で大騒ぎになり、物凄い反撃を受けたろう。
だから
いまだに運動会というと「怖い」イメージでゾクっとする。
話が逸れた。
ダンスの話。
それだけ怒られながらやったのだけど、そのダンスと「メヌエット」は全く別物だ。
何の共通点もない。
ついでに、ウィーンワルツも。
ズン ちゃっちゃ とリズムをとるワルツ。
実は日本人がやる ズン ちゃっちゃ とヨーロッパ人がやる ズン ちゃっちゃ は微妙に違うらしいのだけど、でもこっちは ダンスの曲とわかるし、何となく身体の動かし方もわかる。
しかし。。
メヌエットは、さっぱりわからない。
メヌエットで1番有名なのは、
バッハのメヌエットでしょう。
教科書にも出てきたし。
あの頃から「これはダンスの曲」と言われていたのだけど、「ふうん」と聞き流して、自分のテンポで弾いてた。
つまりさっぱりわからなかったのだけど、わからない ということさえ、わからなかった。
今は、わからない ということはわかる。
進歩なんだけど。
そこまで。。。
ダンスの曲は他にも色々ある、ガボットとかサラバンド アルマンド とか。。
いったいなんなんだ?
どうやって踊るんだ??
ある日、病院で。。
母のリハビリに付き合って、待合室で待っていたら。今弾いてるバッハの無伴奏チェロのメヌエットが流れてきた。
チェロではなく、電子楽器で右手メロディ、左手伴奏で、多分オルガンのようなもので弾いているんだろうと思う。
それを聞いてたら、
「あーこれダンスの曲だ!」
と、わかった。
確かに確かにこれはダンスの曲。
今まで色んな人のメヌエットを聞いたけど、ダンスに聞こえなかった。
でもこれはわかる。
すごい!
と思ったんだけど。。
曲はどんどん流れて行って、次の曲になってしまった。
もう2度と聞けない。。。
家に帰って、同じ曲を弾いてみたけど、私が弾くとダンスじゃない。。
もう一度さっきの曲を聴きたいなぁ。。
iPhone持ってるんだから録音でもすれば良かった。。
結局訳がわからなくなって、今日レッスンに行った。
「ダンスの曲にならないんですよねぇ」
と言って先生の前で弾いてみたんだけど。
先生は
「雰囲気だそうとしてるのはわかるけど、まずリズムとかテンポとかキチンと弾きましょう。雰囲気はその先です」
楽譜を物凄く適当に見ていて、酷い演奏だったらしい。。
メヌエットを習得する道は遠い。