チェロを弾く時、まず憧れるのが
だと思います。
発表会でもこれ弾きたい!という方多いですが。
どっちも物凄く難しいので。
先生はまず止めます(笑)
譜面はそれほど難しくないんですけど、だから初心者もついつい弾けると思ってしまうのですが、実は奥深くて、とてもとても弾けたもんじゃない。
それでも憧れるので、熱望するんです(笑)
初心者は。。
わたしも数年前、まさにその「訳のわかってない初心者」で、無謀にも「発表会でバッハの無伴奏弾きたい!」
と熱望して。
先生、物凄く絶望的な顔になって、まだちょっと早いから、って、遠慮がちにこちらのプライド傷つけないように言ってるにもかかわらず、強行して。
メタメタでした。
それでも、音程とリズムはなんとか弾いたんです。そこまでは頑張って持っていったんだけど、何度弾いてもこの曲の良さがさっぱりわからなくて。
チェロのプロの方々は、皆さんこの曲を絶賛されます。
バッハを弾けないとチェロは始まらない。
とか言ってらっしやって。
物凄い巨匠でも、毎日この曲のどれかを練習してから、本練習に入るかたも少なくないっていうし。
そんな巨匠が「弾く度に新しい課題が見えてきてまた弾かなくてはいけなくなる」
なんて、おっしゃっていて。
しかし、発表会でちょこっと練習したにも関わらず、私にはさっぱりわからないんですよね。
この曲の良さとか凄さとか。
先生のおっしゃる通り、めちゃくちゃだった私は、しばらくバッハは弾くことすらしなかったんですけど。
それから4年くらいたったいま、先生に
もう一回バッハをやってみたい!
と、恐る恐るお伺いしたところ
「いいですよー」
と、快諾してくださって、練習が始まりました。
とは言え、全く理解していない私が弾くので、数小節で止められて、説明されというのが数ヶ月も続き、「聴いてて気持ちがよい弾き方に」と言われ(気持ちが悪くなるらしい(笑))うんうん唸りながら練習していたのですが。。
最近ちょっとわかってきた
ような気がします。
この曲は、結構自由に弾くことを許されている曲で、曲のスピードとか間の開け方とかが個人の自由で調整できるらしいのです。
でも、自分のテンポをもってやらないとめちゃくちゃになるのですが。
初心者が弾くと、自分のテンポなんてありませんから、ひたすら楽譜にそってのっぺりとした弾き方になってしまって。まあ、音符を追っかけるだけで精一杯なので仕方ないんですけどね。
無謀な発表会から4年くらいたってますから、その間練習してますから、少しは腕も上がってます。多分。。
私も流石に音符を追っかけるだけではダメでその先があるんだということはわかったのですが、いったいどうやればよいのか?
さっぱりわからなくて。。
それが、ちょっと前から、ほんの少しわかってきた。
音と音の間の空間を大事に弾けばよいんしゃないか?ってことが。
音を出すだけでも大変なのに音の終わりと、次の音を出すまでの微妙な空間を工夫すればちょっとバッハに近づくような。。
今までそんなことを考えたことがなかったので、練習は容易ではありません。
でも、少しずつ少しずつ、コツがわかってきて、レッスンでも先生に「そうそうそんな感じ」と言われるようになってきて。
なあるほど。。と思ってきました。
理解してから、巨匠が弾いた同じ曲を弾くと、なぁるほど、この人、ここのところこんな解釈してる!と理解できて。
弾いても嬉しい、聴いても嬉しい。。
なかなか弾けないけど、練習がとても楽しく。。最近とても機嫌がよいのです。
頭の中でいつもバッハが歌っていて、バッハさんが近くにいるような気さえして。。
今でこそ有名なバッハですが。
バッハが生きていたころは、ただのオルガンの演奏家、専門家としてしか評価されず、亡くなると名前も忘れられていました。しかし、80年後にメンデルスゾーン がバッハの楽譜を見つけて発表してから急速に有名になり、それでもこのバッハの無伴奏は埋もれたままでした。しかし、メンデルスゾーン が見つけてから、60年ほどたって(つまりバッハが亡くなって100年以上たって)、チェロの巨匠カザルスが楽譜屋で見つけて、研究することによって陽の目を見ます。いまではチェロの聖書と言われてる本も最初はそんなものだったのですよね。
楽譜だってバッハが自分で書いたものは残っていなくて、奥さんが写したものとか。
メンデルスゾーン が最初にバッハの楽譜を見つけたのは、たまたま買った肉屋の包みにバッハの楽譜が使われていたからとか(これは嘘くさいけど)
とにかく、聖書と呼ばれるこの曲の素晴らしさがほんの少し理解できて。。
世の中暗いニュースばかりですが、私は明るく過ごせてます。感謝!
昭和41年10月23日(日)
すき焼き
さつま芋甘煮
大根の味噌汁