チェロとお昼寝

趣味のチェロとか とにかくもろもろ。アラ還主婦のつぶやき

口で伝える技術

今度の発表会(5月)はパラディスという方が作曲した、シチリアーノを弾く

チェロでは有名な曲。短いけれどすごく綺麗な曲で一度弾きたいと思っていた。

今回の目標は「綺麗に弾くこと」

今までは難しい曲に果敢に挑戦していて、まだまだ全然弾けないけれど、とにかく発表会に持っていたものが多かったので

今回は「聴かせる」チェロにしたいと思うのだけど。

まあ、目標は高く、頑張ろう。

 

有名な曲だけに色んな名チェリストが弾いている。

YouTubeにも何人も出ていて、楽しい。

楽譜もそれほど難しくないし余裕だわ!と思って先生の前で弾いたら。

最初の数小節でダメ出しが出た。

「付点のところは長く、その後の16部音符は短く、その後の八分音符は長めに弾いてください」

先生はきっぱりとおっしゃる。

先生の説明が続く。

「この曲は地中海の穏やかな海を想像して弾いてください。荒波はないです。」

どうも、私の演奏はでこぼこが過ぎるらしい。

クレッシェンドもかけすぎみたい。

大体。。

地中海って見たことないのだけど。。。

少なくとも日本海の荒波でもないし、湘南のサーファーが喜ぶ大波もないのね。

日本で言えば、瀬戸内海ってところかしら???

 

最初、この説明は先生の「好み」かと思っていた。

先生がこういう風に弾いてもらいたいからとう言うことで細かく指示をされるのかと思ったら。

最後に「って、私は習ったんですよね」

とおっしゃって。

話を聞いていると、この解釈は万国共通のようだ。

家にかえって、今までぼーっと聴いていたYouTubeをもう一度聴いてみた。

確かに。先生のおっしゃっている、解釈通りにみなさん弾いている。

国も時代も違うのに見事に同じ。

 

ちなみに、この弾き方についての本はない。

みんな、小さい頃から習っている先生に聴いて、その通りに弾いて、また次の弟子に伝えてきている。

録音を聴いて、その約束事がわかる耳の良い人はともかく、そうでない人(多分たくさんいる)は先生から教えてもらうしか手はない。

約束事がきちんと全世界に伝わっていると言うことは素晴らしいことだけど。

これ、ちゃんと文章にするとか、もっと広く簡単に習得する方法があればいいのに。。

先生にそれとなく言うと

先生曰く「技術を教えるだけのプロっていないんですよねえ。」とのこと。

みんな弾きたいからプロになったんであって、教えるためにプロになった訳ではないから。

弾ける時間があればそっちに集中したいから(先生も生活のために教えているのであって、本当はもっとガンガン弾きたいのだろうと思う)技術を広めるなんてことはやらないでしょうねえ。とのこと。

 

でもね。どの世界でもみな、一流選手になりたくて努力して、でも残念ながら一流選手になるのはほんのわずか。だから指導者になって裾野を広げていってるんだと思うけど。

みんな演奏者になって、教えるにしても、自分の生徒だけ、しかも口だけで伝えるとなると、裾野は広がらないよなぁ。。

 

弦楽器の分野はそこが昔のままで遅れているのかもしれない。

管楽器はどんどん演奏人口が増えてるらしいのだけど。。弦楽器は減る一方。

音大のチェロ 科も志望者が本当に少ないとか。。

 

弦楽器は、小さい頃からずっと習い続けなくてはいけないから。

それに比べて管楽器はある程度大人になってからでも十分間に合うから、そちらの希望者はどんどん増えているそうだ

 

それじゃあ先細りになりますよねぇ。

と、心配だけど。

私は、目の前の曲、頑張ります!さ