チェロとお昼寝

趣味のチェロとか とにかくもろもろ。アラ還主婦のつぶやき

ほんのちょっと

世の中の著名な人、凄い人は、普通の人と全然違うのだろうとどうしても思ってしまう。
子どもの頃アイドルはトイレには行かないんじゃないかと本当に思っていた。
有名人は一般の人とは全然違う生活をしてるんじゃないかと思っていた。
よくよく考えたらそんなはずないのだけど、今でも、そんな凄い能力持っているひとは、食べ物も動き回る生活の範囲も私とは全然違うとどうしても思ってしまう。

持病の検診に行ったときのこと。
待合室で座って本を読んでいたら、本の向こうに座っている男の人の靴がとても素敵で、その上に見えるズボンも見たことがないほどステキな色で。
正直、病院の待合室の方々の格好は、かなりラフで、あまりお構いのない格好なので、その方の姿は待合室には良い意味で不釣り合いで。
どんな人なんだろう?と思って、本から目を離してその方の顔をみると。知ってる人。
隣近所の人ではなく、テレビで見る人。
顔も名前も知ってるはず、でもどんなジャンルの方なのか思い出せない。。
あんまり、ジロジロ見るのも失礼だし。
少し考えたけれど思い出せないので
諦めてまた読書に戻った。

しばらくして、ふと隣を見ると、さっき見た素敵な靴とズボンが見えた。
???
前に座っていた人が、隣に移動してきたらしい。
なんでだろ?と思いながら、
また顔を見た。
やっぱり思い出せない。
また諦めて読書に戻る。

すると。読んでいた本の左端から診察券が顔を出した。
そこの病院は、呼び出しの機械があって、その機械に自分の診察券を挟んで、スムーズに本人確認ができるようにしている。
その呼び出し機械にくっついている診察券、それも隣の方の診察券が何故か私の本の上に私に見えるように出てきたのである。
隣とは詰め詰めで座っている訳ではない。横を向くと、その方は向こうを見ながら、手を伸ばして、診察券を私の本の上に載せている。かなり無理な姿勢。(笑)

名前を見ろってこと?

改めて診察券を見ると、苗字だけ見えるようになっていて、下の名前の部分は親指で隠している。

???
苗字だけ見て良いってこと??

他人の診察券の名前なんて、普段はなるべく見ないようにしてるけど。
そんなに見せてくれるならと(笑)

苗字を見ると。。

途端に頭の中にフルネームが出てきた。

指揮者だ。とても有名な指揮者。
確認のために、スマホを出して、Wikipediaをひいてみると。
写真がでてきた。
隣の人とスマホの中の写真は全く同じ顔だった。

そこで、あー!と指揮者の人に挨拶をして、いつもご活躍で。。
とか言えば良いものを。

電車とかコンサートホールならともかく、
病院の待合室だし。
有名人が病気だって、わかるのはご迷惑なんじゃないか?
なんて、考えたりして。
結局、何の進展もなく終わってしまった。

向こうの指揮者も、私が名前がわかったのを確認したようで、診察券を引っ込めた。知らない患者同士に戻りそのまま終わった。

今思えば、そこまでしてもらっているのだから、遠慮する必要は無かったんだろうなと思う。
そこで、あー有名な指揮者のかたですね。
私も音楽好きで、とか話をすれば、
指揮者とお話するなんてなかなか出来ないことなのに。
本当にチャンスを棒に振る女だ。。

その指揮者はテレビの中でも華があり、「他とは違う感」を醸し出していた。
でも、そんな人でも、病気になれば待合室で待ち、ついでに名前を知ってもらうために努力する。
そんな意外なお茶目な姿が普通っぽくないと言えばそうだけど、でも一流の指揮者がちゃんと営業努力(?)する姿に感心した。結構普通っぽいじゃない!と。

そして、私はそれ以来その指揮者を見ると親近感を覚えて応援している。指揮者にとっては、診察券の努力で、ファンが増えたということだ。

大学に入ったとき、教授という職業の人を見て、あまりに普通でびっくりした。
私にとっては、教授になるような人たちは、全く別の生活、動き、食べ物まで違うのではないかと思っていた。
しかし、全く同じで、同じ生活をしていた。そしてただのおじさん、おばさんだった。

その後有名と言われる人と出会ったこともあるけれど、別段変わった生活をしている様子もなく。
極めて、普通の生活で同じものを食べていた。

あんまり同じことを見せられると
何が違うとこんなになれるんだろう?
とかえって不思議になる。

もとが違うから?
それもあるだろうがそれだけではないと思うけど。


もうすぐ有名人になりそうな人に
なんであなたはそんなに凄いの?
と聞いたことがある。
私よりひとまわりも下で、普段は、甘え上手の可愛い女性だ。 

えーそんなことないですよー
全然すごくないですよー

と言う答えかな?と思っていたら。
聞きたいことをものすごく的確に答えてくれた。

嫌なことは沢山あるけれど、仕事変えるのは、面倒くさがり屋なのでそのまま続けてます。
私は何でも普通か普通以下だけど
他の人よりほんのちょっと体力があって
ほんのちょっと努力できて
ほんのちょっと飽きないで続けられる。
それだけですよ。

さすが。と思った。

朝ドラ「エール」の森山直太朗さんが演じる藤堂先生が主人公の少年に語った言葉
「人よりほんの少し努力するのが辛くなくて、ほんの少し簡単にできること、それがお前の得意なものだ。それが見つかれば、しがみつけ。必ず道は開く」

道を開くのは、ちょっとのことらしい。
でもそれにしがみついていかれる体力と継続力が必要。。

人生の半分はとうに過ぎてしまったけれど。
今からでも、しがみついてみようかな?
ほんのちょっとのことでよいみたいだから。

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