サントリーホールで演奏したことがあります。
30年くらい前。サントリーホールが出来上がってから3年くらいしかたってない頃だとおもいます。
サントリーホールは日本で初めての本格的なクラシック専用ホール。
「世界に並ぶ一流ホール」ができた!ということと、バブルの時代がマッチして、かなり話題になりました。
聴くだけでもステキなのに、外観も内装も素敵。
休憩時間も優雅な気分でお酒が飲めるという、
夢のような空間。別世界の感覚のホールでした。
そんな、ホールでアマチュアのオケがで弾くって ちょっと異次元。。今は結構やってらっしゃいますが(それでも特別なことだと思う)
その時は、そうですねぇ。例えば、皇居の松の間に入るレベルの出来事って感じですかねぇ。(笑)
だから、初めてその話を聞いたときは、内容をなかなか理解できないほどびっくりして(笑)
なんでそんなことが出来たのか?
予約した方の話によると
ある日、サントリーホールの前を通りがかって、
なんとなく(❗️)ホールの事務室に行って
空き状況聞いたら、
日曜日に一日空いてたから。
予約しちゃった❤️
と、かなり衝動的というか、
行き当たりばったりで決めたらしい。。。
出来たってことが。凄い。
オケのまとめ役をやってた方なので、
ホールの予約は慣れていたようですが。
それにしても、なんて大胆な!!
しかも使用料金そんなに高く無かったらしい!
周りに何も相談せずに、申し込むって、
普通ならかなり怒られそうですが。
サントリーホールなので❤️
みんな大喜びで❤️❤️
ついでに、外部からも出演したい人が続出!!
私もその1人で。。
もう何でもやりますから、出させてください!
とお願いして。
出ました❤️
チャイコフスキーの交響曲第5番と
ワーグナーのトリスタンとイゾルテその愛と死
だったと思います。
本番当日朝
もうわくわくしながらサントリーホールに。
聴きに行くのだってワクワクなのに。
弾きに行くなんて。もう。嘘みたいで。
楽屋でも、カラヤンここで座ったんじゃない?
と、みんなで写真を撮り合い。
舞台では、みんな1人1人指揮台に登り
「きゃ!小沢征爾!」とか言いながら幸せに浸り。
もう朝からお祭り騒ぎで💦
ところが
練習が始まり、第一音を出したところで
みんなびっくり。指揮者もびっくり!
ものすごい残響なんです。
残響があることで響きの良いホールと言われるのですが。
それまでそんなホールは日本には無かったので。
これが残響かぁ。
と、感動したのですが。。。
その残響のせいで弾きにくい。
普段残響なんて関係ないホールで弾いていると、
聴こえてくる音はひとつです。
ところが、サントリーホールになると
前から聴こえる音と後ろの反響板(?)から
聴こえる音にものすごいずれがあって。
ものすごく弾きにくい。
その残響があるから、
聴衆は、うっとりとするんでしょうが。。
演奏者は、真っ青で(笑)
当然生音に合わせて弾かなくてはいけないのですが、いつもは聴こえない反響音が後ろから来る。
しかも、生音より反響してくる音の方が綺麗な音で心地よく(笑)
ついつい反響音を聴いてしまい。
ものすごくずれて。
なんかめちゃくちゃ。。
ゆっくりした曲は、確認しながら弾けるので、
なんとか合わせられるのですが。
早い曲になるとさっぱり分からなくなって。。
もう。大変で。
それでも、リハーサルでなんとか合わせられるようになり(ほんとか?)
どうにかなるかと思ったら。。
本番。
お客さんが入ったら、また音響が変わってた‼️
リハーサルと全然違うんです。
せっかく慣れたのに。。。
お客さんの洋服とかに音が吸収されて、
もしかしたら、残響が少なくなってたのかもしれないのですが。。
しかし、こちらは、調整限界を超えていて(笑)
でも、訳分からなくなりながらも、
なんとか食いついて。
そして最後の曲 チャイコフスキーの5番
最終楽章は、とても早くなります。
朝からずっと練習で、
結構、かなり疲れていて。
それでもみんな頑張って、
チェロ のパートはばっちり揃ってて。
なのに。。
ティンパニが不思議な場所からドドドドと鳴り出して、チェロ と一緒に終わるはずなのに。。
チェロ が終わっても、まだ全然叩いてて終わる様子はなく(笑)
しばらくして、ドン!とか終わってる。。。
尻尾がはみ出た子犬みたいな状態で💦
1番後ろにいるティンパニは、多分反響板に1番近いから生音なんて聞こえなかったんじゃないでしょうか?(勝手な解釈)
指揮者は、どう指示してんだろう?覚えてないです。
指揮者も呆然💦
最後の曲の最終楽章で、1番盛り上がる(笑)ところだから、止める訳にもいかず?
(勝手な想像)
覚えてないんですけど。
最後だけは合わせて終わった💦💦
終わったときは、あまりの出来事に呆然。
いくら、知り合いばかりとはいえ、お客さんに申し訳無かったですが。
普通では出来ない体験ができて。。
ありがたかったと思います。
でも、今度から聴きにくるだけにしよう。
と、心に決めました。。。。
しばらくたって、プロオケを聴きに行ったら
序曲で、プロオケが崩壊していました。
「プロオケでさえ崩壊するのか!」
とびっくりしましたが。
なんと、アンコールで、同じ序曲を演奏して。
今度は、ばっちりステキな演奏でした。
プロはその日のうちに調整するのですね。
さすがと思いました。
コンマスの方のものすごくホッとした顔。今でも覚えてます(笑)