弦楽器には必ず魂柱というものが楽器の中にあります。凄い名前ですけど。ただの木の棒です。
外からは見えなくて、f字孔(写真参照)から覗くと見えます。棒が。。
f字孔(この中を覗くと棒 魂柱がある)
でもこれものすごく大切で。
楽器の中で音を伝える大切な棒なんです。
表板から裏板に音を伝える大事な役割を担ってて
万一、魂柱が外れる(魂柱が倒れると言ってる)と、表板から裏板に音が伝わらなくなるので、
ぼやけた音しかでなくなるんだそうで。。
つまり、使い物にならなくなる。
大変なんです。
私は幸運なことに、倒れた経験ないんですけど。
倒れると素人では絶対に直せないので。
もう、その日の練習は中止。
楽器屋さんに直行です。
楽器屋さんの腕と特殊な器具があれば、すぐ直せるらしいのですが。素人はお手上げです。
魂柱がよく倒れる楽器ってあるんです。
使い方もあるでしょうが、楽器を作るときに原因があることも。
楽器に対して魂柱が短くて、外れやすいとか(といってもほんの数ミリの話です)
短いのがダメだからと、今度はギチギチになる長さでつくると楽器本体に負荷がかかって傷んじゃう。
それはそれで困りますし。
程よい長さの魂柱を作らなくてはいけない。
楽器職人さんの繊細な技術が必要で💦
しかも、挟まってればよいということではなく、
魂柱の位置も音に影響するらしいです。
1ミリ位置を変えただけで響きが変わるとか。
音の響きといっても個人の好みもあるでしょうし、使用目的によっても(オケで弾くとかコンチェルト弾くとか)要求が違うだろうから。
もう感覚。センスの世界。。
ちなみに私はわからないのでそのまま(笑)
「魂柱」という、文字の通り、魂の問題は、本当に難しそう。。。
昔市民オケで、合宿をやりました。
一泊ですから、濃密な練習はできませんが、まとめて練習できるし、団員同志の交流ももてるし。ということで結構有意義なものでした。
遠いところからやっと到着して、さあ練習と思ったら、友人のチェロ が「コロンコロン」言ってる。。。
魂柱倒れたらしい。
その時は富士山のふもとでした。
楽器屋さんに行くっていっても、弦楽器店なんてないだろうし、あっても知らないし。(まだネットで検索なんて時代では無かったので)
「あー。せっかく来たのに、練習無理だねぇ。」
と、皆気の毒に思ってたら。
オケの中に楽器職人さんがいて。。
「ちょっとやってみる」
と、食堂の中に消えていって。
しばらくして
「できた!応急処置だから、帰ったら楽器屋さん持って行って直してもらってね」
と、明るく言われて。
食堂でナイフとフォークと糸借りて、魂柱立てたとか!
「糸が外れたらナイフとかフォークとか楽器の中で落ちたままになるから怖かった」
とのことでしたが。。
よくわかっていない私達は、
「やっぱり楽器職人って違うわねぇ」
と、楽器職人さんというのはみんな凄いもんだと思ったんですけど。
あとから色々聞くと。
それは、ものすごく「凄い」ことなんだそうです。
「普通じゃ出来ない!器用すぎる」
と、他の楽器職人さん達、感嘆の声をあげてて。
やっと凄い事なんだと知った無知な私。
今も年賀状だけですがお付き合いさせていただいていますが。
年賀状頂くたびに
「いやあ。凄い方なんだよなぁ。。」
あの合宿のことを思い出しています。