大阪のクリニックが放火されて多数の方が亡くなった。
心療内科のクリニックだったので、亡くなった被害者の中には患者さんも多かったはず。しかも病院だから通っていることを大っぴらに知られたくないだろうと想像する。それが突然被害者になって、実名が全国に報道されるのは、気の毒と思っていたけど。
報道は躊躇なかった。
金曜日の昼の事件で、身元がわかった被害者の実名を日曜日には報道していた。。
ちょっと前に、新聞投稿のルールに「原則実名」とあるのを自分の解釈で、仮名で投稿してたら、実名じゃないとダメ!と言われて、「もう投稿しない!」と切れた私としては。(そして、電話をかけてきた担当者の態度があまりに酷いと新聞までやめた。。切れ過ぎかも。)
実名という言葉に引っかかる。
私の場合は、なんてことない日常の話を出すか出さないかということだけど。
今回の大阪の放火は、全くレベルが違います。
本人は亡くなっていて、拒否できない。亡くなったことを、そして、病院に通ってたことを含めて全国に知られるんです。
別に何も悪いことはしてません。でも自分の意志とは無関係に実名が出ちゃう。
しかも、今はそれで被害者続出なのに。。
躊躇なしで実名報道だなんて。
良い迷惑にも程があると。。。私は思う。
もちろん、実名で出しても構わないと遺族の方が承諾するのなら問題ない。
でも、今回の報道のスピードを見ると警察は遺族にお伺いは立ててないと思う。
実名報道が原則。これが報道のルールらしい。
これと比較するのが。
京都アニメーションの放火。
やはり多くの方々が犠牲になられました。
この時は被害を受けた京都アニメーションの会社が実名を出さないで欲しいと要請したんです。
警察は実名出すつもりだったけれど、でも、考慮しようと動いた。遺族の意見を聞き、実名OKの人だけ発表しました。犠牲者35人中10人。発表も事件から半月後です。(今回の2日後とはえらい違いです。)
でも、結局40日後(全員の葬儀が終わったあと)に35人全員の実名を公表しました。
40日後というのが検討を重ねた結果ということなのでしょうが、その時も半分以上の遺族が公表拒否としていたそうです。そして拒否していることを警察はマスコミには伝えていた。
で、それを、受けたマスコミの反応はというと。
大手新聞は全部(11社)が実名公表しました。全く無視です。
一方、スポーツ新聞は対応が分かれて、公表しない新聞もあったとか。
何故実名を公表したのか
以下は
朝日新聞デジタルの
京アニ放火殺人と実名報道 メディアはどう向き合ったか
2019年9月10日05時00分
より、抜粋しています。
性別と年齢だけでは失った存在の大きさは伝えられない 産経新聞
事件の重大性や命の重さを伝えるため
NHK
実名を基にした取材によって、警察発表の事実関係をチェックし、正確性を高めることは、報道の使命でもある 読売新聞
お一人お一人の尊い命が奪われた重い現実を共有するためには、実名による報道が必要 朝日新聞
(実名報道が)事件の全貌(ぜんぼう)を社会が共有するための出発点 毎日新聞
検証や再発防止につなげるために原則、実名報道をしている 日経新聞
読んでいて気になったのは、報道の使命というものを声高に言ってるだけ。
実名報道されたときの遺族への影響については触れてない。
ここの最後に朝日新聞が朝日新聞としての実名の考え方を述べている。
■実名報道について朝日新聞の考えをお伝えします 大阪社会部長・羽根和人
「遺族が実名報道を拒んでいるのに、なぜ載せるのか」。京都アニメーションの放火殺人事件で、亡くなった方々の身元を京都府警が公表した際、本社を含む報道各社が全員の実名を掲載したことに、批判や疑問の声が寄せられました。
残忍な事件で大切な人を突然奪われたご遺族の心痛はいかばかりかとお察し申し上げます。
亡くなった方々に多くの人々が思いをはせ、身をもって事件を受け止められるように報道する。それが、事件に巻き込まれた方々の支援や、再発防止のあり方を社会全体で考えることにつながるのではないか――。私たちが事件ごとに検討しながら、実名報道を原則としているのは、そのような思いからです。
今回も私たちは、亡くなった方々お一人お一人の名前を掲載し、一部の方についてはご遺族や知人からうかがったお話を記事にしました。ファンから愛されたクリエーター、夢を膨らませて入社した若い作り手……。失われた命の重みと尊さは「Aさん」という匿名ではなく、実名だからこそ現実感を持って伝えられると考えているからです。
事件後、現場には「京アニにいる知人が無事か分からない」と心配する人が次々と訪れました。ネットでは真偽不明の安否情報が飛び交いました。正確な情報を社会に伝えて混乱を防ぐこと、事件を詳しく記録して歴史にとどめることは報道機関の務めだとも思っています。
メディアスクラムなど、これまでの事件取材が実名報道への批判を生んだことは真摯(しんし)に受け止めます。京都に取材拠点がある報道各社は今回、メディアスクラムを防ぐ新たな取材方法に取り組みました。私たち朝日新聞は安全・安心な社会の実現に役立つよう努めるとともに、取材や報道のあり方を考えていきます。
やっぱり、権利を主張してるだけにしか聞こえません。
とにかく、報道したいのよ!
と叫んでるだけに聞こえるんですけど。
その影響力。わかってるんですかねぇ。
ネットの暴力も知ってますよね。
大体、政治報道でよくある「自民党関係者の話」とか「閣僚経験者の話」っていう「関係者」は、真実を使える報道には何も問題ないんですかねぇ。
真実伝えるには「実名」が必要なら、こっちも「実名」にすべきだと思うんですけど。
新聞やテレビの世の中の立ち位置。
昔とは変わってるって、ご存知なんでしょうか?
新聞に名前がでて、やった!と思っている人はいまそれほどいないとおもいます。
昔は、新聞に名前が出るような事件は大層なことで、事の重大さを示していたけど今は、そんなことより、ネット中傷など、悪い影響力の方が何十倍も怖いのです。
そこんとこ、よくわかっていらっしゃるのか??
欲しいものをなんとしても手に入れたくて、沢山理屈言ってる私と、大新聞が同じレベルって、ちょっと寂しいです。
たとえが悪くて申し訳ないですが。。