横断歩道で転んだことがある。
まだまだ若い頃。子供も生まれていなかった。
広尾のおしゃれな街でつまずいて転んだ。
膝をつくなんてもんじゃなくて、ベタっと倒れる感じで。
最初に思ったのが「恥ずかしい!」
周りの人に「大丈夫ですか?」なんて声をかけられるのは、みっともないなあ。嫌だなあと思いながら転んだまま周りを見回した。
10人以上は横断歩道を渡っていたけど。周りの人の動きは、全く変化していなかった。
転んでる人なんて気づいていないのか、気づいていても気にしないのか。
青信号を人々は楽しそうに喋りながら渡っていた。
声をかけなくても様子を伺う人もいても良さそうだけど、みんな速度を変えず目線は前に歩いていた。
「大丈夫ですか?」と言われるのがみっともないと思っていたけど。
ここまで無反応だと、今度はものすごく虚しかった。
嘆いてもいられない。さっさと立ち上がって、信号が変わらないうちに走って渡った。
あの無反応さは。。。見えてなかっただろうか?それとも大したことなさそうだから、無反応にしておいてあげようという親切だったのか?
いまだにわからない。
つい数日前、病院の検診に向かっている時。まさに病院の目の前の横断歩道を走っていた。
信号がチカチカと点滅していたので、渡ってしまえと走った。
日頃そんなに走らないけど、まだまだ私も走れるわ!なんて思いながら走っていたら。
真横に救急車がいて。「あー。通してください!」と叫ばれた。
びっくりして、後退りして、救急車を通した。ごめんなさい!と深々とお辞儀をしたけど。
もう遅い。怒ってたろうなあ。救急車の方。
おばさん!どけよ!と思ってたろうな。本当にごめんなさい。
救急車の音がしているのは何となく聞こえていたけど、それがどこにいるのか全く考えていなかった。
車を運転していると緊急車両を通さなくちゃいけないと、音が聞こえた途端にどこにいるのか反応しているのだけど(と、書きながらも、ちゃんとやってるのか心配になってきた。。)歩いている時は救急車の位置は考えていなかった。
でも、あれだけの音を鳴らして、「通ります!緊急車両とおります!」と連呼していれば何となくでもわかりそうなもんだけど。
全く、全然、隣に来るまで気が付かなかった。
お粗末すぎる。
原因は、走ることだけを考えて周りが見えなくなってしまったことだろう。
転ぶのもみっともないけど、他人に迷惑はかけない。
逆に、救急車を通せんぼするのは、どれだけ迷惑かけるか。
自分がいかに周りを見渡せない人間であることがよくわかった。
本当に身にしみてわかった。
横断歩道で転んで無反応の人に文句など言えない。
だから。
一生、横断歩道は走らないことに決めた。
急いで、ろくなことはない。迷惑もかける。
歩いていれば、さすがに救急車も気が付くだろう。
困っている人がいれば、声もかけられるだろう。
急がない、急がない。
余裕のある大人(笑)になろう。。
というか、恥ずかしくない大人になろう。