チェロとお昼寝

趣味のチェロとか とにかくもろもろ。アラ還主婦のつぶやき

共感できて嬉しい!芥川賞

毎年発表される芥川賞直木賞

私はできるだけ購入して読むようにしていますが。。なかなか難しい。

何故かというと。

私なりに期待して、読み始めるものの、

「残念」な結果に終わってしまっていまうから。

ほとんどが斬新さについていかれなくて、読み終わってから「???」となることが殆どだったんです。

 

こんなモノに2000円近く消費してしまったか。。と、毎回がっくり来ていて。

今回も、

また残念に思うのかなぁと恐る恐る読んだのですが。。

今年の芥川賞作品は共感できて、読み応えがありました。良かった良かった。

 

そもそも、この本に興味をもったのは、題名。

「おいしいごはんが食べられますように」

美味しい話だと思って(笑)

 

読んでみるかと決意したものの、どうやって本を手に入れるか。。

 

まずはダメ元で図書館を見てみました。

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839人待ち。。。

無理無理。。

Amazonは。。

 

表紙の絵がステキだなと1540円。。

人気本ですので中古も同じような値段です。

 

 

雑誌ですが。。1200円

雑誌ですから、高級感はありません。

でも、こちらはお得感があるのです。

小説以外にオプションがある。

著者のインタビューとか選定者のコメントとかも載っているのです。

作者について知りたかった私は、今回は雑誌を購入しました。

 

高瀬隼子さん34歳

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2019年 『犬のかたちをしているもの』で第43回すばる文学賞を受賞。
2021年 『水たまりで息をする』で第165回芥川賞候補
2022年 『おいしいごはんが食べられますように』で第167回芥川賞受賞

 

年に1作小説を書いて、新人賞に応募して来られたそうです。2019年にすばる文学賞をとるまで10年がかりだったとか。

でもそれからぼどなく、芥川賞候補となり、今回受賞。。

 

雑誌が到着して、早速読んでみると。

すらすらと読みやすい文章でした。

そして面白い。

残念だったのが、期待した美味しい話では無かったこと。

食べることに興味のない人が出ているせいか、あと著者自身が食べることにそれほど興味がない(インタビューで答えてる)こともあって、食べる場面は多いものの、あまり美味しそうではない。。

逆にカップ麺がそんなに美味しいのか?とそそられる程度の話で。。。(笑)

 

食べ物は残念でしたが、人間描写は、面白くて、懐かしさまで感じました。

会社の支店で繰り広げられる様子を描いているのですが、「あるある。。こういう人いた!」と思う人が何人も出てきます。

 

この小説で1番印象に残るひとは、

「芦川さん。」

仕事が出来る訳ではないけれど、気を遣えるという「武器」で自分の立ち位置を確立する人。

あと、「弱さ」も武器にする。

「いるいる!」

読みながら、芦川さんにムカツいて、でも妙に懐かしさを感じていました。

芦川さんはケーキを作ってきて皆んなに配り、自分の立ち位置を確保します。

でも、それにムカツく仲間もいて。でも、表面的には物凄く友好的です。面と向かっては戦いません。というか、そんなことしたら、自分の位置が大変なことになる。

だから、裏で、仕返しをするのですが。

報復したつもりだったのに、結局芦川さんにやられてしまうのです。

ある意味コワイ。いや、ホントにコワイ。

 

「敵にまわすと自分の立場が危なくなる」

だから攻撃できない。

会社員の時はもちろん、仕事辞めて、自由な人間関係つくれるはずの今でさえ、そういう人に出会います。

まあ、今は表面的に付き合えば良い話だから、それほどの苦労はありませんが、会社員のころは結構苦労していました。

「私はこの人のことがこんなに嫌いなのになんで皆んなはチヤホヤするんだろう?」と不思議に思いながら、仕方なく付き合って、ムカついていました。

それから30年もたって、会社の同窓会があり、昔の上司とその人の話になったら、「俺、あの人嫌いだった。」と告白(笑)されて。。

誰がどう見ても仲良さそうだったのに、何で?と、びっくりして詰め寄る(笑)と。。

「まあ仕事だったから」

と、一言でまとめられてしまい。。

30年前、あの人にどれだけムカツいていたか、ムカツいている仲間が(しかも上司)いるとわかっていたらどれだけ、楽だったか。。と。

文句言ってやろうかと思ったのですけど、結局ため息しか出ませんでした(笑)

 

そうは言っても、私にも「芦川さん」的行動はよくやっていました。

平成の始まりの頃の職場は、「結婚退社」は普通でしたし、今じゃ考えられない「セクハラ」の言葉が日常会話でした。

「そんなこと言ってたら結婚できないよ」なんてどれだけ言われたか。

「あの子は良いお嫁さんになるねぇ」

それに引き換え、あんたは。。。という話をされても、反論できる空気はありませんでした。

「気の利く女」「空気をよむ女」が「仕事が出来る女」以上にチヤホヤされました。

だから。。私も頑張った時期がありました。

もちろん、手作りケーキ持って行ったりなんてことはしませんでしたし、余りに酷いセクハラ男に対して猛然と戦ったこともあります。「弱さ」を売り物にしたこともありませんが、総合的には、雰囲気を壊さないように、長いモノに巻かれることを良しとして過ごしてきました。

 

この本を読みながら、昔、苦労していた頃の会社員生活を思い出し、昔のようにムカツいていました(笑)

 

しかし、「弱さ」を武器に媚を売り、自分の立ち位置を確保する人が勝者になる。のは、昔も今も同じのようです。

私は、結構そう言う人に悩まされてきました。

そしてムカツいてきました。

こういう人の対処方法。。

「近づかない」しかないんですかねぇ。

というか、それより前に「ムカつかない」人間になるのが一番なんでしょうが。。

私にはそれはむりだなぁ。。