小学校から高校まで習っていたピアノ。そんなに長くやっていたならさぞや好きだったんだろうと言われそうですが。ずっと嫌で嫌で。。(笑)
それでもなんで続けてたのかというと、「グランドピアノを買ってあげる」という母の言葉をずっと信じて、単なる物欲のために続けてました。目標値(教則本 ソナタアルバムを終わらす)を目掛けてひたすら続けてやって、やっとの思いで。到達したのですが、答えはノー。家が狭いから今はだめというのが理由でした。家が広くなったら買ってあげると言われたけど、全く現実的ではありません。元々買うつもりはなかった。そこでやっと「騙された」と気がつき、その場でピアノは終わりました。私の中でピアノは「暗い過去」になりました。
辞めたのは高校2年か1年の頃だったと思います。嫌々ながらやってることは、ピアノの先生もご存知だったと思います。やる気を出させるためか、ある時「やりたい曲ない?」と聞いてくださいました。それまで、先生が全て決めていたので、びっくりしましたが、この機会を逃してはいけないと、即座に私は「バッハをやりたいです」と答えました。
嫌いなピアノでしたが、バッハだけは好きで、よく弾いていました。
べートーベンやモーツアルトとは違い、抑揚が無くて、淡々と流れるところが好きでした。
バッハの曲は教会で弾かれたものが多いので、オルガン曲が多いと思います。
私も、オルガンを弾くように弾いて見ようと、1人で私なりに工夫してオルガンのように伸ばしてみたりして、平坦に弾くようにと工夫してみて楽しんでいました。
でも、ピアノの先生の前でそれを披露してみたところ「全然ダメ」と全く相手にされませんでした。「こう弾くのよ」とお手本を見せてくださったのですけど、中学生の生意気な私には、「何これ?」というような弾き方で。。。今思うと何を生意気なと思うのですけど、とにかく嫌だったのです。結局、先生がいくら言っても弾き方を直すことをしなかったので、バッハは仕上がることなく終わってしまいました。
何が嫌だったのか、漠然としか覚えていないのですが、ピアノの先生は「情緒豊かに」と
言っていて、それが嫌だったような気がします。
それから、ずっとバッハは敬遠していていましたが。
最近 無伴奏チェロのレッスンをするようになりました。
当初、さっぱり弾き方がわからず、オロオロしていたのですが
「情緒は入りませんよ!平坦に弾いてくださいね」と言われて、そこで昔のことを思い出しました。
そうそう!バッハは平坦に弾くんだよねえ。和音を楽しみながら、平坦に流れるように弾くんだよねえ。
昔、中学生の私が こうやるのかな?と1人で奮闘していたけど、全部否定されたけど(笑)
もしかしたら、結構わかってたんじゃないかと、ちょっと嬉しくなりました。
中学生の私やるじゃん。
もし、あの時こうだったら。と、よく考えます。
先生が多少なりとも私の弾いたバッハを認めてくれていたら。。。
いい気になって、バッハをしばらく弾いていたかも知れませんが、ピアノ好きに転じることは無かったと思います。
ピアノを辞めた原因となった、グランドピアノももし、母が約束を守って買ってくれたとしても、元々ピアノが嫌いなんだから、使えなくて困ったと思います。
せっかく買ってもらったんだから、ピアノは弾かなくてはいけない!と辞めるに辞められなくなって、辛い生活を送っていたかも知れません。
むしろ、買ってもらえない!という理由で、ピアノが辞められて、大学でオーケストラ部に入って、チェロと出会えて。
今、好きだったバッハが弾ける。
時間はかかったけれど、結構 良い結果だったかも。
グランドピアノで騙されたと長年恨んできましたが、そのおかげで今の楽しい音楽生活があると思うとあまり母を恨まないでおこうと思うようになりました。
かなり長いことかかりましたが。
バッハが好きだったことを思い出したおかげで
私なりの、小さい心の整理ができました。