チェロとお昼寝

趣味のチェロとか とにかくもろもろ。アラ還主婦のつぶやき

生まれた時に決まってる

突然、押し入れの掃除をしたくなって。
始めた。
私の掃除は突然始まる。計画性のかけらもない。テレビを見ていて、掃除とは何の関係もないものを見ているのに掃除がやりたくなって。
次の日から始まる。(その場では始めない)
本人が突然なので周りはびっくりだと思う。でもそう滅多にないし、何より綺麗になるので最近は文句も言わない。
 今回の押し入れのコンセプトは
「使いやすく」
突然始めた割にはコンセプトがしっかりしてる(自画自賛
詰め詰めにしていると、量は入るけれど出し入れしにくい。
そうすると 使いにくいから
すきすきの押し入れにする

でも、入らなかったものの保管場所はない。
だから、とにかく捨てる


もちろん捨てる決断が出来ないものもある。
特に夫のものは、不可能に近い。
絶対使わないのに とにかく嫌というので、

仕方なく、天袋の奥に(笑)
だって絶対見ないんだもん(笑)

そんな感じでやっていると、
お見舞いの品が出てきた。

今から8年前。
パソコン見ながら若い女医さんはかるーく言った。「右は癌決定ですね」
「。。。」
まだ検査中で、結果は何週間もあとのはずだったので、全く心の準備をしていなかった。病院に来る前は水泳に行って、お腹が空いたから病院の食堂でカツカレー食べて、なんか胃が重いなぁと全く無防備な状態での宣告で。きょとんとしながらやっとのことで質問してみた。
「癌って。確定ってことですか?」
女医さんはパソコンから視線をこちらに向けて、満面の笑顔で答えた。
「そうです。確定ですよ。転移もしてます。」
悪い冗談かと思ったが、現実だった。
あの満面の笑顔、今も覚えている。
そして腹がたつ(笑)

ちなみに日本有数のがん専門病院の話。
私だけではなく、他の人も皆「衝撃の宣告」を受けて治療が始まったらしい。衝撃すぎて、通えなくなる人もいるらしい。
そりゃそうだと思う。
病院は検査の最後に経験豊富な先生が出てきて、厳かに宣告するシステムにしているから、ちゃんとやってると思ってる。でも実際はその前に若い先生が我先に「宣告」しちゃうので何にもならない。私も最後に経験豊富そうな先生に気の毒そうに「宣告」されたけど。その時はもう色んな準備を終えていて、「何を今頃。と思った」病院側もそろそろ気づいただろうか

朝、水泳していた人がいきなりがん患者になった。家中大騒ぎだった。
騒いだつもりはないんだけどお見舞いがどっときた。
病気の名前が派手だからか、母の友達まで会ったこともないのにお見舞いがきた。

大概がありがたいものなんだけど。。。。

色んなものがあった(笑)

パジャマがわんさか。
癌患者は、寝込まない。普通に食事を作り、買い物に行き、子供の送り迎えもする。だからパジャマは夜だけ。入院中は病院のパジャマです。だからそんなに必要ないけど一生分以上のパジャマがきた。気分を明るくと励ましてくださっているのか派手派手が多かった。
申し訳なかったがそのままバザーに出した

千羽鶴も2つきた。病院のベッドから外を見つめているひとならともかく、毎日出たり入ったりしている家に千羽鶴は不思議な存在だった。心をこめて折りました。と、こころのこもったお手紙を添えてくださり、申し訳なかったが「なんか見てると暗くなる」と家族にも不評で、神社に持っていった。

願掛けのお札。祈祷までしてくださり、千羽鶴と一緒に送ってくださった。最初はありがたくベッドのそばに置いておいたが、位牌の形そっくりでおまけに真ん中に私の名前が書いてある。表面元気にしていても、死の恐怖はあり、悩まされていた。だから見ているうちにお札が自分の位牌のように見えて落ち込むようになった。
これも神社に持って行った。

もちろんありがたいものも沢山いただいた。酷い口内炎で食べるのに不自由してる時に、「これ美味しいから」とプリンがきて、ありがたかった。

抗がん剤は周期があり、調子が悪いときは寝込む(家の仕事はする)けど良い時は出歩ける。
調子の良い時にあわせて、近所まで来てくれて同窓会をやってくれておしゃべりしたのは楽しかった。普通の会話が1番の特効薬だった。

入院してるときに、コーヒーがなんか不味い。と呟いたら、コーヒードリップ一式もって会社の帰りに寄ってくれた友人もいた。道具は完璧だったけど、コーヒーの豆を忘れて(笑)結局入れられなかったけどその行動力に元気がでた。

病気は、気持ちも不安定にする。
癌の治療は、もう病院任せで、こちらはやることがないけど(笑)
気持ちを安定させるのは、物凄く難しかった。
だから、なんてことない言葉に衝撃を受けて落ち込む。
「えー。癌なの?子ども小さいのにどうするの?」
数人から言われた。
子どもはまだ小学生だった。
こっちが聞きたいよ。それが一番心配なのに、堂々と良く言えるね。
と、その度に思ったけど言い返せなかった。相手の顔をみると、悪気がなくて、心配してるのがわかるから。多分、お見舞いの言葉でなんとなく言ったのだろうけれど。その度に落ち込んだ。

反面、「えー。癌なの。抗がん剤も?頑張ってるねぇ。偉いねえ。」ちっとも偉くはないことはわかっているけどこれだけで楽になった。

ひと言で落ち込んだり元気になったりした。

癌という病気は、死に直結する。
だからみんな怖がる。
宣告されてから治療が終わっても恐怖はつきまとう。
再発確率10%と言われても再発したら自分にとっては100%で。
統計は関係なくなる。

しかもこの不安に治療薬はない。

不安で不安で仕方がなかったときに言われたことがある。
「人間、生まれた時に寿命は決まってるのよ。だからジタバタしてももうどうしようもないの。そして寿命は誰もわからない。それなら、ジタバタ不安がるより、寿命までどんな風に生きていくか考える方が良くない?」
80過ぎた先輩の言葉。
正直、好きな人では無かったけれど、この言葉はありがたかった。
そして、この言葉を知って、とてもとても楽になった。

押し入れの中は、お見舞いでもらったけど使わなかったクッションとかぬいぐるみとかがまとまって入っていた。
それと病気をきっかけに辞めたスキーグッズも。夫と息子が好きなので無理して寒いのに付き合っていたけど「無理はやめよう」と行かなくなった。夫と息子がスキーに行っている間は私の自由時間になるし。
万が一再開したらと残していたけれど、8年たって使わなかったから捨てることに。

押し入れは結構、使いやすくなった。
まだ捨てられるものはあるんだけど。
それはまたやる気になった時に考えることにする。

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