チェロとセミリタイア生活

趣味のチェロとか お気に入りとか日々の発見とかアラ還女の視線でお届けします

暗譜にトライ

チェロの先生の発表会。
毎年やっているのですが。
今年は、まだ日程が決まらない。。。
というか、まだ会場予約してない。。

コロナっていうのが大きな原因なんですけどね。
今は新しい予約も取れないし。

いつも憂鬱な発表会ですが。。
今回は私、とってもやる気なのに。。
なかなかうまく回りませんねぇ。

私は、目標が無いとすぐサボる。
何でも理由作ってサボります。
だから
このままでは、ダレる。。

なら、
目標を作れば、良いんだ!
と言うことで

考えた結果。

暗譜する!ことにしました。

いばるほどのもんじゃないだろう!
と言われそうですが。

私は物凄く覚えるのが苦手で。。
本当に覚えられない。
歌の歌詞とか、全くダメだし。
「いつのまにか」頭に入っている。
という経験がなくて。。。

よって。
この、チェロの曲を暗譜する。
ってことは、普通の方々よりも、もっと全然大変なことなのです。

じゃあ
何も、暗譜しなくても良いじゃない?
と言われそうなのですが。

ちょっとこの言葉が心に刺さって。。

何度も登場している
千住真理子さんの御本の中から
ヴァイオリニスト 20の哲学
ヴァイオリニスト 20の哲学

「暗譜の定義」

暗譜すると言う事は、その曲を完全に体内に吸収する、と言うことになるからです。咀嚼し、血となり肉となり自分の声となって、自分自身の音楽が滲み出る、そこを大切にしたいと思う方はぜひ暗譜をして演奏することをお勧めします。

出来る出来ないじゃなくて。。
挑戦してみるのも良いのではないかと思って。。
やってみます。

昔、ピアノをやっているときは、右手、左手をそれぞれ覚えてあとは両手でひたすら
何度もやって覚える。
いわば指と耳、ちょっと頭を使って暗譜していましたが。
若かったし、何より自己流なので。

その自己流だけでやるのは、ちょっとおバカかと思ったので。
暗譜のやり方を学んでから
やってみようかと。。

これについては
また今度。。
今日は決意表明でした。
(笑)
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ペレーニと浜離宮ホールの椅子

2年くらい前、突然夫と息子がスキーに行くと言い出して、突然のことに大慌て。
何故かというと。
「1人で夜お出かけ」ができるので。
普段は、あまり夜の外出はしないのですが、泊まりで息子が出かけるときは、出かけます。。喜んで。
まあ、行き先は、飲み会とかコンサートなんですけど。
どこに行こうかかなり前から予定を立てるのですが、その時は、突然だったので、何の予定もなく。それでもあっちこっち探して、チェリストのペレーニのコンサートを見つけました。
本番3日前にも関わらず、ほぼ満席の予約の中にステキな席がぽこっと1席空いていて。
運命感じる!ともう、何でもポジティブに(笑)
予約!

と言うと、ペレーニの昔からの大ファン!
に見えますが。。
全然違って。
ペレーニさんを知ったのはその1か月前。
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1か月前に、YouTube見てて
「わー。このおじさん(失礼!)上手!」
と、なんとなく顔と名前覚えて。

そしたら、「1人でお出かけ」の夜に、あのおじさんの(失礼!)コンサートがあった!
おっ面白そう!と予約したという経緯で。
かなりの偶然が重なった予約だったのです。

そして「1人でお出かけ」の当日

たまたま、午前中チェロのレッスンが入ってました。
レッスンの終わりに
「今日、ペレーニとかいう人のコンサートに行くんです❤️」
と言ったら。
先生、目が❤️。。
それでもアホな私は、空気を読まず、そのまま話を続ける。
YouTube見てたらなんかこの人上手って思ってたんですけど。たまたま時間が空いて、そしたらコンサート見つけて、席も丁度良い席が空いてて。。」
と、自分の幸運を喋ってたら。

もう、先生は、
もうこの人全然わかってない!
とものすごく、困ったというか、げんなりしながら、でも教師として伝えなくてはと(勝手な憶測)ペレーニの凄さを語ってくださいました。

ハンガリーチェリスト
地味だけどもの凄い技術を持ってる人で
70歳になってもその技術を今も進化させている凄い人なんですよ!
と。
ブダペスト音楽院の教授で、何でも先生のお友達がペレーニに学びたいとブダペスト音楽院の留学を希望した。でも、残念ながら選ばれなかったけど、それでもペレーニがいるからと、ブダペスト音楽院に留学したとか。。音楽家にとっても憧れの技術を持った人なんです!
と。先生熱弁。

そこで初めて、ペレーニの凄さを認識。
いやぁ、演奏会前にわかって良かった!と
凄い演奏会に行かれるんだ!と益々気持ちは、上がって。。
そして、先生に感謝して、演奏会へ

その演奏会は2晩でベートーベンのチェロソナタを全曲弾くという、体力も気力も必要で、70歳のペレーニにはちょっと負担が重そうなプログラム。

ちなみに
ベートーベンチェロソナタって全部で5曲あり。
5曲の中で3番と5番が群を抜いて難しい(らしい)。そして、人気があります。

ベートーベンソナタ全曲演奏会!という演奏会の場合は、2日あると
トリ(メイン)の曲は、人気の3番か5番。
前プロとして、あとの3曲(1番、2番、4番)のどれかを入れてプログラムを作っています。

今回も、そんな感じで。
私は2日目の演奏会。
メイン(トリ)は、ベートーベンの5番

浜離宮朝日ホールは初めてでした。
駅の上にあって、便利だし、こじんまりとして、落ち着いた雰囲気で、気持ちがよいホール。
それだけでも素晴らしいけれど
椅子が広くて。座り心地がステキ❤️
しかも席が丁度内側の通路沿いだったので、圧迫感が少なく、しかも前から7番目で❤️ペレーニと目が合うんじゃないかってくらいよく見える。

実は
そのちょっと前に、新歌舞伎座に行って。
3階席という安い席に座ったのですが、
無茶苦茶狭くて。。心地わるい。
建て替えて、広くしたという話だったけど。歌舞伎を知っている方にはこの狭さがカイカンなのかもしれないけれど。わたしにはダメ。
もう歌舞伎は結構。。と思っていた後だったので。

浜離宮の席は、夢のような空間でした。

70歳のペレーニが、どんな演奏?
と思ったら。
前半はものすごく、力を抜いた、かなりあっさりした演奏であれ?と思ったのだけど
後半から力が入ってきて。。。
最後の5番が始まるときは、もうやるぞ!という感じが伝わるほどの力の入れ方で、
そして演奏もすごかった。。。
何度も繰り返されるメロディが、同じように何度繰り返されても新鮮で。
もう一回、もう一回!とこちらがリクエストしたくなるほどステキで。
しかも、広い椅子のおかげで、自分の空間を沢山独り占めできるので、自分の世界に入ることができて。
加えて、周りには、自分と同じでうっとりしている、共感できる「仲間」もいて。なんか幸せ。。。
終わったときは、みな立ち上がっての拍手。。

いやぁ。ステキでした。

ヨーヨーマーやミッシャマイスキーというような、華のあるチェリストではないけれど。そして、全く愛想の無い方だけど。
この技術を見せられると、魅せられて。
ファンになってしまいますねぇ。

次のレッスンの時。
先生のお家に到着したとたん。
「ペレーニどうでした?」と聞かれました。
待ってましたとばかりに、素晴らしさを伝えました。
1週間前は「YouTubeで見つけた上手なおじさん」と言ってたのに、今度は、素晴らしさをプロの先生にえらそーに熱弁(笑)

やっとわかったか。やれやれ
って思われたと思います。

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資生堂のいちごパフェ

お気に入りシリーズ(勝手にシリーズ化)

今日は、資生堂のいちごパフェ

銀座資生堂のいちごパフェを初めて食べたのは、高校生くらいだったと思う。
母方の祖父と2人で食事を食べに行って、祖父は、強制的に(笑)このパフェを注文した。
資生堂のデザートは他にも色々あって、私は他のデザートを食べたいと主張したのだが、祖父は絶対これを注文しろと言う。
私も結構抵抗したが、普段優しい祖父がかなり怖い顔をして、「絶対いちごパフェ」
と言うので、根負けしていちごパフェにした。
でも、食べたとたん、本当に美味しくて、感動して、祖父に感謝した。
祖父は、にやっとして、ものすごく満足そうだった。
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資生堂のいちごパフェはかなり高い。
でも美味しい。
私が思うに、銀座本店のいちごパフェが1番美味しい。他の支店のいちごパフェよりも断然美味しいとおもう。
他の果物のパフェもあるが、やっぱりいちごパフェが1番美味しいと思う。

パフェは食べている途中に必ず「今ひとつ」の部分が出てくる。生クリームのところだったり、アイスクリームのところだったり、ケロッグみたいな許せない嵩上げの所だったり。
ところがこのパフェは、そんなところがない。休憩なく、ずーっと美味しさが持続する。
そんな凄いものは、資生堂のいちごパフェだけなのである(笑)
同じ銀座の資生堂のパフェでも、他の果物のパフェは、「今ひとつ」のところがある。
残念だけど、ダメだ。
でも、いちごパフェだけは、完璧である。多分、いちごとの相性なんだと思う。最初に考えた人がいちごに合わせて生クリームとかアイスクリームを考えたんだと思う。きっと。

たまに、銀座に行くと、資生堂に行きパフェだけを食べる。

銀座の資生堂は、今はキンキラキンのビルになっているが、昔は落ち着いたビルたった。レストランも木を使った落ち着いた雰囲気を出していて、とても居心地が良かった。
昔は、軽食レストランで食事もした。
カレーが好きでよく食べた。普通のカレーだったが、付け合わせのピクルスが何種類も付いてきて、それが美味しくて楽しみだった。
キンキラキンに変わってから、デザートしか食べなくなった。
もちろん今も立派な食事のメニューも、あるけれど、うん万円のカレーとか、異次元の世界で、ついていけない。だから、喫茶だけ。

たまに食べるいちごパフェ。食べるたびに、味が変わってないか心配しながら食べる。でも、いつも美味しい。変わったことはない。さすが資生堂だと思う。

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ウィーンで美味しかった話

30年前のウィーン話の続編。。

学友協会のコンサートは、昼間(15時くらいかな)だったので、夕食は近くで豪華に行こうかと。
ホテルザッハーに。

ホテルザッハーは、チョコレートケーキのザッハトルテを作り出したホテル。
チョコレートケーキということから近づきやすいホテルかと思ったら、ものすごい高級ホテルで。。
ちょっとどうしようかと思ったけれど。
もう行ってしまえと、入っていき。

若い女の子(笑)2人でもホテルの方は親切で。
注文は、もう前から決めていて
「ウィーン風仔牛のカツレツ」
友達も私も同じ。
それと白ワイン。
フルボトルは、飲みきれないから、ハーフボトルお願い!って言ったら、
フルボトルしかないと言われ。
「持って帰ってホテルの部屋で飲めば良いじゃない!」
っ言われて、フルボトル。
それともちろんザッハトルテ

ウィーン風仔牛のカツレツにしたのは
もとはと言えば
学生時代のドイツ語の教科書。
それも入門クラスの教科書で、
そこの一文が忘れられ無かったので。。

お父さんと息子がレストランに行って
「お父さん、僕はウィーン風仔牛のカツレツにするよ」
「良いねえ」
「お父さん、すごく美味しいよ」

お父さんが何を注文したのか、全く覚えていないのですが。この息子が注文したウィーン風仔牛のカツレツ。

つまり、ドイツ語は頭に残っていないけど、このウィーン風カツレツだけが、2人とも妙に残っていて。
せっかくウィーンに行くのなら体験したいと。。。
思考が極めて単純なんですけど。
それで、ホテルザッハーのオーストリア料理店へ、行ったのです。
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運ばれてきたウィーン風仔牛のカツレツ。
衣が柔らかくて、ホワホワしていて、
本当に美味しかった。。。
あー。来てよかったと思う瞬間でした。

それ以来、ウィーン風仔牛のカツレツがとても好きになったのですが。
日本で食べるものは、ペタッとした、貧相なカツレツで。。
本当に残念なものばかりなのです。
ホテルザッハーだから、あんなに美味しくて、一般的には、大したものじゃないのかもしれないけれど。。。
美味しいウィーン風仔牛のカツレツを食べたいと思うのです。

ザッハトルテは、いまも通販で売ってるみたいです。でも、かなり重いです。甘すぎて。。
ヨーロッパの方々の甘さの感覚がわかります。

あの時、友達と
「やっぱり、ヨーロッパの高級ホテルのレストランって、カップルでくるもんなんだねぇ」と、周りのお客さん見ながら話していたんですけど。
だからって、躊躇した方が、マナーとしては、良かったのかもしれないけど。
カップルでヨーロッパのレストランなんて、そんなの待ってたら、ホテルザッハーなんて行かれなかったですからね。
あの時無理しても行って良かったと思います。

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レッスンの合間に

レッスンは、来週ですが。
一応毎日練習してます。

Dotzauer28番
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このリズムが音を変えて続きます。
2ページ。。
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6月からずっとやっていて。
???が持続してて(笑)
出来てないということはわかるんだけど。
どうやったらよいのかわからない。

もちろん、レッスンに通っていますから
先生は細かくアドバイスしてくださるのですが。
言われたことを気をつけて練習してるけど
やっぱり、出来てない。

先生はちょっとずつ、アドバイスの仕方を変えて、身体の使い方を教えてくださいます。

うーん。うーん。
と悩みながら。
わからなさすぎて、このエチュードの練習が面倒に(嫌なわけではない)なってたことも。

でも、ここ数日で。
「あっ!」という感じが増えていて。
昨夜は
「なんか綺麗じゃない❤️」
と思うように。

ずーっと停滞してたけど、
ちょっとだけ進歩が見えた。

これがあるからやめられない。

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信じて貰えない話

昨日のウィーンの話ついでに
ウィーン学友協会に行った話。
と言っても30年も昔の話ですけど💦

マゼールウィーンフィルの演奏会でした。
凄いチケットが取れたもんです。
友達のお母さんが取ってくださったような気がします。もう亡くなってしまったけど感謝❤️
曲はベートーベンの交響曲7番だったかな?
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昼間の演奏会でした。
ヨーロッパの演奏会は、きちんと正装しなくてはいけない!
と言われていたので、結婚式の披露宴にも出席できるような、洋服で行ったら。。
他のお客さん達、意外とというか、かなりカジュアルで。。
なんか、変な意味で目立ってて。
ちょっとそこは残念でしたが。。

ウィーン学友協会は、1870年にオープンしたホールです。
だから、モーツァルトやベートーベンは、もう亡くなっていてこのホールはご存知ないはず。
ブラームス が丁度ノリノリの時期で、学友協会で活躍したみたいです。

毎年年明けに行われるニューイヤーコンサートは、日本でも生中継されるくらい人気です。
テレビで見る学友協会は、ピカピカで。
よく宣伝でも、「眩いばかりの黄金の輝きのホール」とか言われてて。
これどうなってるんだろう?と思っていましたが。
実際中に入って見てみると、落ち着いた金ピカでした。(笑)
照明を当てたり、外からの光が入ってくると(ホールの上のほう方に窓がある)またステキな輝きを増すと言うので、光が当たると、眩く見えるように上手に設計しているような感じです。
よくあるイヤらしい金ピカの建物を想像してたんですけど、全然違うステキな金ピカでした。

上の方に窓ありますね
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世界の中でも音響の素晴らしいホールと言われているけどサントリーホールとは、違う柔らかい丸い音が聞こえるホールだったように思いました。
きらびやかに音楽が鳴るというより、聴いていて凄く気持ちが良いホールでした。


始まる前にお手洗いに行こうと思ったら、トイレは舞台の横奥にあって。
本当にトイレ?って疑うような上等の木のドアで(笑)しかも、ドイツ語で男、女とドアに書いてあるだけなので、ドイツ語選択したはずなのに💦こっちは女で良いのかな?とちょっとドキドキしながらドアを開けた覚えがあります。
トイレの前には、人が沢山いて、トイレが混んでいるのかと思ったら、ウィーンフィルの人たちが練習してた。。。
まさか。と思ったけど、正装しているし、楽器を持ってるし、弾いてるし。
絶対これから演奏する人たちで。
トイレから出てきても弾いていて、
こんなことがあって良いのかと。自問自答。。(笑)
あの、ウィーンフィルの団員が私の目の前で、しかもトイレの前で弾いている。
あってはいけないことのような気がして、早々に退散しました。
ちょっと離れて、見ているのはきっと何の問題も無かったろうに。。
本当にもったいないことをしました。

休憩になると、客席にアイスクリーム売りのおばちゃんが来ました。
またびっくりで!
客席でアイスクリームを食べるなんて、信じられなかったんですけど、売りにきてるし、周りも食べているから、私達も食べて見ました。(笑)
新幹線の車内で食べるバニラと同じでした。

よくテレビに映るのは、ホワイエとかいう
入り口と客席の間にある飲食スペースで。
そこで、正装した男女がかっこよくワインやシャンパンを飲んでいる姿を見ていたので、客席でバニラアイスクリーム!はかなり意外でした。
バニラアイスクリーム食べてたら、ホワイエの方には行きそびれて。。。
まあ、いいか。

この、トイレの前でウィーンフィルの団員さんが練習している話と、アイスクリームの話。もちろん真実なんですけど。
日本に帰って友達に話しても、結構みんな信じてくれなくて。。
友達のうっそー!って言う反応聞いてると、なんか私は幻を見たのか、食べたのかと思うようになり。。
ネット見てもそんな話、全然書いてないし。。
いつかまた、確認しに行きたいと思ってます。
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ベートーベンの小川

1970年ごろのはなし

私の生まれ育ったところは、新宿まで歩いて10分という都会の真ん中で。

と言っても、結構静かな住宅街だった。
表通りは舗装されていて、新しい家が立ち並んでいたけれど、一歩通りを入ると木造の小さな家屋がひしめきあっていて、舗装も充分されていなかった。多分、戦後の混乱期に建てられた住宅街だったのだろう。ある時火事が起きて、道が狭過ぎて消防車はもちろん、ホースすら届かないと言う事態が起きた。(となりの大きな庭のあるお宅の門を壊して消防車を庭に入れ、ホースを伸ばして放水して消火したらしい)色んな意味で危険ということでしばらくたって区画整理された。
空き地には野生のリスがいて、胡桃を買ってきて遠くから食べるのを見たりして、結構自然も残っていた。

我が家は坂の上にあったのでちょっと離れた(歩いて30分くらい)高層ビルの工事の様子がよく見えた。辺りに高いビルは、全くなかったから、工事の様子が本当によく見えた。日本で初めての高層ビル(確か京王プラザホテル)だったので、どうやってビルを高くするのか、大人も子どもも興味津々だった。少しずつ少しずつ高くなってきているのを毎日わくわくしながら見ていた。

夕食の買い物に行く時は、小学校の裏門の前の細い道を通った。道の途中に細い水路があり、そこを渡るのに、橋の代わりにコンクリートの棒の上を歩かなくてはいけなかった。手すりもなく、渡してあるだけの棒だった。あの頃はそんな「危ない」ところが沢山あった。
私は棒を渡るのが怖かった。別の道で大回りして行こうと訴えても、誰も聞いてくれなくて、皆その棒の上を歩けと言う。
私はいつも、励まされたり叱られたりしてベソをかきながら渡った。

それから何年かたって、そこは工事されて、歩きやすい道に変わった。水路の周りがコンクリートで固められて、水が見えなくなってしまった。怖くて渡れなかった棒(?)も撤去された。
同時に看板が立った。
「春の小川の碑」と書いてあって、ここが春の小川のモデルとなった川であることが書いてある。

春の小川の歌は、幼稚園でも学校でも習ったし、テレビでも春になるとよく流れていた。
今よりかなりメジャーな歌だった。
私もよく歌っていた。

春の小川は、さらさら行くよ。
岸のすみれや、れんげの花に、
すがたやさしく、色うつくしく、
咲けよ咲けよと、ささやきながら。

習ったとき、先生は
「小川の情景を思い浮かべて歌いましょう」と、言っていた。小学校の音楽の教科書にも、春の小川と山や川のある田舎の田園風景の絵が描いてあったような気がする。(不確かだけど。)田舎の風景は、見たことがなかったけれど、なんとなく、想像して、自分なりの小川と周りの風景を作っていた。

しかし、その小川がこれだった。
怖い怖いとべそかいた棒の下の水路の水があの歌に出てくる小川だった。
その歌が作られたころは、きっと、歌詞通りの風景だったのだろう。
間違ってはいないのだろうが。

その看板で、私の中の歌のイメージが変わってしまった。
春の小川を聴くと、ちょっと複雑な気持ちになる。
渡るときの、怖かった思いがまだ残っていて、春の小川はちょっと怖い(笑)


もう30年くらい前か。友達とウィーンに行ってベートーベンの散歩道と言われるところに行った。
そこの近くにベートーベンは住んでいて、そこで交響曲第6番の田園を作ったとか。
散歩道は、田園の構想を練った場所と言われていて、有名な観光地になっている。

田園の2楽章は、小川のほとりの情景
という副題がついている。
ガイドブックには、その小川は散歩道の途中にあると書いてあった。

どんな素敵な小川だろうと思ったら。。
住宅街に流れているあんまり趣きのない、本当に普通の川だった。
もちろん、あの「春の小川」の水路に比べると、しっかりとした、ちゃんとした川で橋もしっかりした手すりのある橋だった。
曲が作られたのは200年も前で景色が変わっているのだろうけど。
観光地として存在してるくらいだろうから、きっと素敵な川だろうと勝手に盛り上がっていただけに。
普通の川すぎて、びっくりして、そしてかなりがっかりした。
橋の上から小川を見ながら
「こんな小川であの曲書くって、やっぱりベートーベンって天才よねぇ」
と、変な感心の仕方をした。

その日は丁度日曜日で、両替のお店が閉まっていて、日本円をシリングに替える(まだユーロになってなかった)ことが出来なくて、私達は本当にお金がなかった。
レストランなんてとてもとてもお金が足りなくて入れなかった。
わざわざウィーンまで行って、何をしてるのかと思うが。
その時は、手立てがなく。(あったかもしれないが思いつかなかった)、値段を見比べながら屋台の安いサンドイッチをぱくついた。
どこをどう歩いたのか覚えていないけれど
あちこち歩きまわった。
お金がないのでカフェで一休みも出来ない。でも、歩きつかれて、座りやすいところを探して休んだ。
なけなしのお金(笑)で買ったジュースか何か飲んでいたような気がする。

ふと後ろを振り返ると、ブドウ畑が一面に広がっていた。広くて平地で、ずっとどこまでも繋がっているようだった。
友達と「うわぁー」と叫び、どちらからとなく田園の最終楽章のメインフレーズを歌い出した。
きっと、ベートーベンはこのブドウ畑を見ながらこのフレーズを作ったんだろうなぁ。
と、思った。

実際のブドウ畑とは違うけれど
こんな感じでした。
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www.youtube.com
26分40秒くらいから、ステキなフレーズが出てきます。

やっとやっと風景と音楽が一致した。

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